皆さん、こんにちは!「京都の設備屋さん」です。
前回の記事では、神社参拝の作法が「心の配管」を整えるというお話をさせていただきました。

清めと感謝の心を持つことで、神様との対話が深まることをご理解いただけたかと思います。
さて、伏見稲荷大社について語る上で、最も深く掘り下げるべきテーマが今回の「稲荷神(ウカノミタマノカミ)様の本当のご利益と由来」です。
多くのガイドブックには「商売繁盛の神様」と書かれていますが、私のように神璽勧請のご縁をいただき、日々神様と向き合っている者からすると、その説明だけでは稲荷大神様の力のほんの一部しか伝わっていません。
水道設備の職人として、長年「生業」に携わってきた私だからこそ感じる、稲荷信仰の根源にある「生きる力」と「豊穣の哲学」があります。
今回は、このブログの柱となる最重要記事として、「京都の設備屋」の視点から、稲荷神様の「本当のご利益」と「なぜキツネが神の使いなのか」という由来を、上品かつ感動を伝える言葉で、徹底的に解説していきます。
稲荷神(ウカノミタマノカミ)の本当のご利益は何か?

「商売繁盛」は「五穀豊穣」から派生した力
稲荷神様、正式には宇迦之御魂大神(ウカノミタマノカミ)は、その名の通り、古来より「五穀豊穣の神様」として信仰されてきました。
米や穀物が豊かに実ることは、当時の人々にとって「生命の維持」そのものです。
この「命の源が満ち足りる」という力が、時代とともに、私たちの「生業(なりわい)」、つまり「商い」や「事業」の繁栄へと発展していったのです。
私ども設備屋の仕事も、お客様の暮らしの「水」という根幹を支える生業。稲荷大神様は、私たちが真面目に取り組む仕事、汗を流して行う生業、すべてを淀みなく、豊かに流してくれる神様なんです。
稲荷信仰がもたらす「人生の滞り解消」のご利益
さて、「商売繁盛」という大きなご利益の、そのさらに裏側には、実はもっと根源的な「人生全般の滞り(とどこおり)を解消する力」が隠されていると、私は感じています。
私の仕事は、水がスムーズに流れるように、配管の詰まりを解消すること。
私たちの人生も、まさに水の流れと同じです。
人間関係、健康、巡ってくる事業のチャンス、これらが淀みなく、清らかに、良い方向へと流れていくこと。
これが、稲荷大神様が与えてくださる、私たちの日々の生身の生活に密着した、最もありがたく、力強いご利益なんだと、私は日々肌で感じています。
稲荷信仰の由来:なぜ伏見稲荷が総本宮なのか

伏見稲荷の創建と歴史的な背景
伏見稲荷大社は、今から千三百年以上も前、和銅4年(西暦711年)に創建されたと伝えられています。
この壮大な神社の始まりは、当時のこの地を治めていた豪族、秦(はた)氏が、この神聖な稲荷山に大神様を祀ったことに遡ります。
この秦氏という方々が、またすごい。彼らは、高度な土木技術や、豊かな生産技術を持っていた渡来系の氏族だったんです。
つまり、伏見稲荷の信仰は、単なる精神的な支えだけでなく、「自分たちの手で豊かな暮らしを築き上げる技術と努力」と密接に結びついていた。
豊かな暮らしを作る確かな技術を持った人々が、その営みを大神様に感謝し、発展を願って祀った。
これこそが、伏見稲荷が「生業(なりわい)の神」として、今日まで力強く発展し続けた、揺るぎない歴史的な裏付けだと、私は感じています。
稲荷大神の御神体は「稲荷山」そのもの
さて、伏見稲荷大社が、全国の神社と一線を画す、非常に重要な点があります。
それは、この神社の「御神体」が、なんと稲荷山全体である、ということです。
皆さんが参拝されるご本殿は、あくまでその山全体を遥か遠くから拝むための社(やしろ)なのです。
つまり、私たちが千本鳥居の奥へと足を踏み入れ、巡っていく「お山巡り」の道そのものこそが、神様が鎮座される、他にはない聖域なんですね。
この山全体から湧き出る、計り知れない力強いご神威。
これこそが、千数百年の長きにわたり、日本中の、そして世界中の人々の信仰を集め続けてきた、伏見稲荷の根源的な力だと感じています。
なぜキツネが神の使い(神使)なのか?

狐(キツネ)は稲荷大神の「神使」であり、神様ではない
さて、皆さん。
ここでよく誤解されるのですが、あの可愛らしいキツネたちは、キツネそのものが神様(稲荷神)ではありません。キツネは、稲荷大神様のメッセージを私たちに伝えてくれる「神使(しんし)」、つまり神様の「お使い」なんですね。
では、なぜキツネがお使いになったのか。それは、昔から稲の豊作を荒らすネズミを捕食し、大切な農耕を守る「益獣」であったことが大きな理由です。
そして、その姿がちょうど秋の収穫期に関わりが深いことから、「穀物の神様」のお使いとして、これほどふさわしい動物はいないとされたわけです。
単なる動物ではなく、私たちの「生業」を守り、神様との間を取り持ってくれる、本当にありがたい存在なんです。このことを知って境内を見ると、キツネ像への見方がきっと変わりますよ。
境内のキツネが口に咥えているものに注目
さて、伏見稲荷大社の境内にいらっしゃる、数多くのキツネ像をぜひ立ち止まってよくご覧になってみてください。
彼らは、ただ立っているだけでなく、玉、鍵、稲穂、巻物など、何かをしっかりと咥えていますよね。
これは、稲荷大神様の力が発揮されるための、大切な象徴なのです。
特に私が注目してほしいのは「鍵」です。この鍵は、稲荷神様の御霊(みたま)が宿る大切な蔵の扉を開く、つまり、「財や知恵の扉を開き、ご利益を授けてくださる」という意味合いを持つとされています。
何気ないキツネ像の細部にまで宿る、この深い信仰の奥深さ。そこに気づけたとき、参拝の感動は何倍にも膨らみますよ!
まとめ:神璽勧請者が伝える感謝のメッセージ

さて、今回の稲荷大神様のご利益と由来に関するお話、いかがでしたでしょうか。
伏見稲荷大社の神様は、単に「商売繁盛」という一言では到底収まりきらない、私たちの「生きる力」の根幹を、滞りなく豊かに流してくださる、誠にありがたい神様だということが、皆様に伝わったなら幸いです。
私のように、神璽(おみたま)を自宅に勧請(かんじょう)し、毎日神様と向き合う者にとって、この日々の「感謝」の気持ちこそが、何にも勝る、最も大切なご利益だと心から感じています。
次回は、いよいよ「伏見稲荷の核心:千本鳥居を抜けた先、お山巡り(稲荷山)ルート解説とご神跡の巡り方」の記事で、稲荷山全体を御神体とする、その奥深い聖域を巡るルートを徹底的に解説します。
今回学んだ深い知識を持って山に登れば、ご神威をより強く、深く感じていただけるはずですよ。

皆様の毎日に、豊かな流れがありますように!



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